「料理してるとき、子どもが近づいてきて『やりたい!』って言うこと、ありませんか?」
まさにうちがそうでした。最初はちょっと危ないなと思っていたけど、1歳半を過ぎたころに一緒にやってみた“野菜ちぎり”がきっかけで、台所育児に少しずつ興味を持つように。卵を一緒に混ぜてみたり、じゃがいもを洗ってもらったりして、今ではなんと、きゅうりを自分で包丁で切れるようにまでなりました。
私は育児や教育の専門家ではないけれど、子どもと一緒に料理をしてみたい!という気持ちでいろいろ調べてみたこと、実際にやってみて感じたことをこのページにまとめています。
「台所育児、ちょっと気になってた」という方の背中をそっと押せる内容になっていれば嬉しいです。
台所育児ってなに?|料理が“育児”になる理由
家のキッチンが子どもの学び場になる
台所育児とは、その名の通り「台所(キッチン)を育児の場にする」こと。料理の準備や後片付けなど、日常の“食”に関わることで、子どもが自ら考え、手を動かし、家族の一員として役割を持つ機会になります。
例えば、野菜を洗う、ちぎる、混ぜる、盛り付ける——一見すると単純な作業でも、そこには指先の器用さ、集中力、判断力が育つ要素がたくさん詰まっています。
非認知能力が自然と育つ
最近よく聞く「非認知能力」とは、自己肯定感や粘り強さ、協調性といった、テストの点数では測れない力のこと。台所育児はまさにこの“見えない力”を育むチャンスでもあります。
「できた!」「ありがとうって言われた!」そんな体験が子どもの自信になります。
何歳からできる?年齢別の台所育児ステップ

1〜2歳:五感で楽しむ「導入期」
- やってみたこと:野菜ちぎり、卵まぜ、じゃがいも洗い
- ポイント:失敗してもOKな環境をつくること
- 安全対策:重いもの・熱いものは完全に大人が管理する
この頃は「一緒にいるのが楽しい!」という気持ちが何より大事。うちでは、朝ごはんの時間にパンをちぎるところから始めました。
3〜4歳:できることが少しずつ増える時期
- 包丁を使いたがる子も。子ども用包丁+大人の付き添いで短いきゅうりなどからチャレンジ
- 野菜を並べる、食材を仕分ける、盛り付けなど、簡単な“担当”を渡してみる
「やりたい!」気持ちを尊重して、でも安全第一で。「失敗しても大丈夫だよ」と伝えられると、挑戦しやすくなるみたいです。
5〜6歳以降:一緒に“作る相棒”に成長
- レシピを一緒に見ながら作る
- 包丁、フライパン、火元にも徐々に慣れていく(ただし安全確認は必須)
自分で考えて「これ入れてみる?」と提案してくれるようになったら、もう立派な“キッチン仲間”ですね。
台所育児の始め方|まずはこれだけでOK
台所育児を始めるのに、特別なスキルや高価な道具は必要ありません。私も「どこから始めたらいいんだろう?」と迷っていた時期がありましたが、実際にやってみて感じたのは「ほんの小さなきっかけ」さえあれば、すぐに親子で楽しめるということです。ここでは、初めての台所育児をスムーズに始めるためのヒントをまとめました。
最初に用意しておくとラクな3つのもの
1. 踏み台 キッチン台に手が届かないと、それだけで子どものやる気はしぼんでしまいます。我が家では安定感のある踏み台を導入しただけで、子どもの「一緒にやりたい!」がグンと増えました。子供の成長に合わせて高さちょうせいができるものや、脚が滑らないよう滑り止めがついたものがおすすめです。
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2. 子ども用包丁 はじめはプラスチック製の刃のない「ままごと風包丁」でもOK。本人が「切ってる感覚」を味わえることが大切です。我が家では、最初はバナナや豆腐など柔らかいものから始めて、今ではきゅうりやウインナーも切れるようになりました。我が家ではカバーが指ガードにもなるものを愛用しています。
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3. 耐熱ボウル 混ぜる・注ぐ・電子レンジで温めるなど万能に使えます。ガラス製より軽いプラスチックやシリコン製のものが子どもには安心です。小さすぎると飛び跳ねてしまうのである程度大きさのあるものがおすすめです。
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最初は“毎日じゃなくていい”と割り切る
毎日台所育児をするのは、正直ハードルが高いです。私も最初のころは「続けなきゃ」と思って疲れてしまったことがあります。でも、週に1回、時間と気持ちに余裕のある日にだけ取り入れると、子どもも親も楽しく続けられると気づきました。
忙しい日は「今日は見てるだけでもいいよ」「トッピングだけお願いね」と、無理のない範囲で関わるスタイルにすると、続けやすいしストレスもありません。
始める前の声かけやルール決めが安心感に
料理は楽しい反面、火や刃物など危険もある場所。だからこそ、子どもと一緒に始める前に「お約束」を共有しておくと安心です。
我が家で決めていたルールは:
- 火と油は大人が担当
- 包丁を使うときは必ず一緒にやる
- 片付けまでが“おしごと”
そして、始めるときの声かけも大切。「一緒に作ってくれる?」「お手伝いお願いしていい?」と役割を伝えると、子どもも張り切ってくれます。
子ども自身も「自分は頼りにされてる」「一員として参加してる」と感じられることで、自信ややる気につながっているのを実感しています。
最初は“ちぎる・混ぜる・のせる”だけでも十分
例えば:
- サンドイッチの具を並べる
- バナナをちぎってヨーグルトに入れる
- 味噌汁の豆腐をちぎる
「今日はここまで」と区切っておくと、親も気持ちがラクになります。
声かけが大事:「手伝ってくれてうれしいよ」
ただのお手伝いじゃなくて、“一緒に作ってる”感覚を伝えるだけで、子どもの満足感が全然違います。
いただきますと一緒に、「作ってくれてありがとう!」と伝えると苦手なお野菜もたくさん食べてくれます。
子どもと一緒にできる簡単レシピ例

「実際にどんなことを一緒にやればいいの?」という声にお応えして、我が家でもよく作っている、子どもと一緒に楽しめる簡単レシピを5つご紹介します。 どれも特別な材料や手順は不要で、日常の食事の中に自然と取り入れられるものばかり。年齢の目安や注意点、ちょっとしたコツも添えてご紹介します。
サンドイッチ(具をはさむ)
おすすめ年齢:1歳半〜
- ちぎったレタス、スライスしたハムやチーズなどをパンにのせるだけ。
- お皿に具材を並べて「どれにする?」と選ばせると、自分で考えて組み合わせる楽しさが味わえます。
注意点: 食パンが乾燥しやすいので準備は手早く。
楽しいポイント: 並べた具材を自分で選ぶ「オリジナル感」が子どもに大人気!
フルーツヨーグルト(切って混ぜるだけ)
おすすめ年齢:2歳〜
- バナナやみかん、キウイなど柔らかいフルーツをちぎったり、子ども用包丁で切ったり。
- 切った果物にヨーグルトをかけて混ぜるだけ。
注意点: 包丁を使うときは必ず大人がそばに。最初は手でちぎるだけでも◎。
楽しいポイント: 混ぜるだけでも「お料理した!」という満足感。
おにぎり(手を濡らして丸める)
おすすめ年齢:2歳半〜
- ごはんに少し塩を加えて、小さなおにぎりを一緒に作る。
- のりやふりかけ、ツナなどでアレンジしても楽しい。
注意点: ごはんが熱すぎないように注意。
楽しいポイント: 自分で握ったおにぎりは不思議とよく食べてくれます!
ホットケーキ(材料を混ぜる)
おすすめ年齢:1歳半〜
- 卵を割る・牛乳を注ぐ・粉を入れるなど、子どもができる工程がたくさん。
- 焼くのは大人の担当でOK。
注意点: ボウルを倒しやすいので、混ぜるときはしっかり支えてあげましょう。
楽しいポイント: 「まぜまぜしたの、ふくらんだ!」と出来上がりにワクワク。
味噌汁(具材を入れる、豆腐をちぎる)
おすすめ年齢:1歳半〜
- 人参や大根などは大人が切っておき、豆腐やわかめをちぎって入れる作業を担当してもらいます。
- 味噌を溶くのも子どもと一緒にやると楽しいです。
注意点: 火を使う工程は完全に大人が管理。
楽しいポイント: 「自分が作った味噌汁」があるだけで食卓での自信に!
どれもほんの少しの手間で、日常のごはん時間が「学びと関わりの時間」になります。 うちでは、夕食や休日の昼ごはんに取り入れることが多いです。気軽に始めて、子どもの「できた!」を一緒に喜びましょう。
台所育児で大変だったこと・失敗談
実際に台所育児を始めてみると、「これは大変だな…」と感じることもたくさんあります。ここでは、我が家の失敗談や、うまくいかなかった場面から得た気づきをご紹介します。
すぐ飽きる/グズグズする/こぼす
やる気満々だったはずが、途中で「やっぱりやめる」と投げ出したり、材料をこぼして大惨事になったり…そんなことは日常茶飯事です。朝の忙しい時間にやると、正直イライラすることも。
でも今振り返ると、「うまくいかなくて当たり前」くらいの心持ちでいた方が、お互いにラクだったなと思います。
最初から「上手にできる」を期待しすぎない
「もうちょっと丁寧にやってよ!」「こぼさないでって言ったでしょ」と思わず言ってしまったことも。でも、よく考えたら大人でも最初は失敗しますよね。
子どもがやる気をなくさないように、「うまくいったところ」を見つけて褒める工夫をすると、次もやってみようという気持ちにつながると感じました。
「大人の都合」を押しつけすぎないことがポイントだった
「早くごはん作らなきゃ」「あと片付け面倒だな」といった“大人の都合”が前に出すぎると、つい子どもを急かしたり、口出しが多くなってしまいます。
でも、子どものペースに合わせることも台所育児の大事な部分だと気づきました。時間に余裕のあるときだけやる、事前に「今日は◯◯だけお願いするね」と伝える、そんな工夫でだいぶ気持ちがラクになります。
親子の関係も変わる?台所育児のメリット
台所育児を続けていると、子どもの変化だけでなく、親である自分にも嬉しい変化がたくさんありました。
料理が“会話のきっかけ”に
「今日はきゅうり切れるかな?」「混ぜるのやってみる?」といった声かけから自然と会話が広がります。料理を通して、普段の生活では見えなかった子どもの表情や発言に気づくことも増えました。
子どもの「ありがとう」や「できた!」が日々の幸せに
「自分でできた!」と誇らしげな顔、「ありがとう、美味しいね!」という一言があるだけで、どんなに大変でも「やってよかったな」と思えます。
食への興味や偏食改善にもつながることも
自分で触った食材には興味を持ちやすく、野菜嫌いが少しずつ改善したという実感もあります。料理を手伝うことで、「これは何?」と素材に興味を持つきっかけにもなります。
台所育児は“日常の中の宝物”になる
台所育児は、特別な教育でも完璧な段取りが必要なものでもありません。
ほんの少しの時間、子どもと一緒にキッチンに立つことで、日常がちょっと特別なものになります。
できることから、無理せず、楽しみながら。今日のごはんづくりが、親子の思い出になってくれたら嬉しいです。
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